2019/01/27 14:14


野菜料理の研究家として仕事を始めて早20年。
徐々に道具の力を知るようになり、ついには手仕事の台所道具の店「studio482+」を立ち上げ、今では道具なしには仕事ができないほど頼りになる存在です。

道具を深く掘り下げてるきっかけになったのが、アノニマスタジオから発売された2冊の拙著。
「野菜たっぷり すり鉢料理」
「台所にこの道具」

料理の仕事をしていく中で、すり鉢など日本の伝統道具の衰退に危機感を覚えざるを得ませんでした。今や絶滅危惧種道具になっている道具がたくさんあるのではないか、と思うほどです。studio482+はそこからのスタートでした。
すり鉢の窯元を探し、土鍋を日々使い続け、道具の働く姿を見つめて、道具の素晴らしさに魅了されていきました。
何より昔からある道具で作る料理はより一層おいしくなります。これは嬉しい発見でした。
料理する人にとっても、食べる人にとっても幸せになる道具。本当に必要な道具は何であるか。それを見極めながら日々仕事をしています。

そんな中で2冊の本を出版させていただいたのは幸運以外の何ものでもありません。
それまで野菜料理のレシピ本を出していましたが、方向性が少し変化したおかげで、自分の道が明確になってきました。

野菜たっぷり すり鉢料理
まず、2016年10月に発売されたのが「野菜たっぷり すり鉢料理」(アノニマスタジオ)。
多方向にすり鉢を使っていくレシピ本です。
「すり鉢で何を作りますか?」と質問したら、何と答えますか? 私が何人かに聞いたところ、全員が「胡麻和え」と答えました。
そんな人のために、隅から隅まですり鉢の仕事ぶりを伝えたいという一心で、この本を書きました。


小さなおかず、大きなおかず。
パスタなどの麺料理、カレー。
サラダ、ごはんもの。
デザートなど、54品

すべての料理をすり鉢で作ります。
レシピ作成しながら、自分でも興奮しましたー。すり鉢を縦に横に広げて行く作業は、何たって楽しかった。
素描家・しゅんしゅんさんの装丁が、この本をより楚々とした雰囲気をかもし出しています。

この本で、すり鉢は胡麻をするだけじゃない、ということを少し証明できたかなと。
すり鉢はする、叩く、潰す、おろす、ボウル、器として、一生懸命に働く良き相棒です。


マツコデラックスさんが加藤智也さん(すり鉢製作者)を取り上げてくださったりしたことも手伝って、徐々に家庭の台所にすり鉢が戻ってきたことが何より嬉しいです。
studio482+でも加藤さんのすり鉢は大人気で、入荷が追いつきません、すみません...。でも加藤さんはせっせと製作していますし、長いあいだお待たせをしてしまいますが、必ずお届けできるようにがんばります。


台所にこの道具
そして、2018年11月には「台所にこの道具」(アノニマスタジオ)が発売されました。
今度は日本の16の台所道具について書くという大仕事。エッセイ、道具説明、24レシピという盛りだくさんの内容。しかも英訳付きです。


英訳は翻訳者である夫担当。日本語独特の言い回しって結構あるんだなぁ。
「一呼吸置いて」って何分?なんて質問もされました。

デザイナーの「いわながさとこ」さんのおかげで、英訳が本文を邪魔せず、いい感じの仕上がりです。

道具の働く姿を撮った写真家「野口さとこ」さんが、この本でもいい仕事をしてくれました。とにかく惚れ惚れする写真の数々です。

装丁は「ダイモンナオ」さん。この装丁は本屋に並んでいる本の中で、心奪われる一冊ですね。本当に素敵な装丁です。

編集社「毬藻舎」の友成響子さんと二人で、単語ひとつひとつの言い回しにも時間を割いて考えました。伝えたいことを文章でうまく伝えられないときは、友成さんにありったけの言葉で説明して、一緒に文章を組み立てていきました。
道具への恋文を書くように。道具の代弁ができるように、ひとつひとつの道具をじっと見つめて、使いながら文章を考えました。

そして、コアなファンが多いことで知られる「アノニマスタジオ」さん。このような本の製作はここしかない、と思えるすばらしい出版社に恵まれました。


10ヶ月間、スタッフと一緒に眉間にしわを寄せてがんばった甲斐があり、とても良い本が出来上がったと思います。

野菜たっぷり すり鉢料理
全112ページ(全カラー)
出版 アノニマスタジオ
編集 毬藻舎、アノニマスタジオ
写真 野口さとこ
デザイン いわながさとこ
装画・挿絵 しゅんしゅん

全144ページ(カラー112ページ)
出版 アノニマスタジオ
編集 毬藻舎、アノニマスタジオ
写真 野口さとこ
デザイン いわながさとこ
装画・挿絵 ダイモンナオ
英文翻訳 宮本貞雄