2019/08/22 14:08



8月20日発売「&Premium 10」ーあの人が、もう一度読みたい本ー。
その中の「キッチンで読み返したい、料理の図鑑」で、ブックディレクターの鈴木めぐみさんが、店主の拙著「台所にこの道具」(アノニマ・スタジオ)を選んでくださいました。


この本は7冊目の著書。
2018年11月に出版されました。
それまでは料理家の視点からずっとレシピ本を書いてきましたが、本格的なエッセイを書いたのは、これがはじめてです。
(あ、でも同じ年の5月に「おむすびのにぎりかた」をミシマ社から出版させていただきました。これはミシマ社のウェブマガジンの連載をまとめたものですが。)

毎日、眉間にシワを寄せてパソコンに向かった10ヶ月間。
雪がしんしんと降る冬に毎日、台所道具を見つめながら、ラブレターを書くようにキーボードを打ち続けました。
何度も書き直し、それでも「よし」という気持ちにはなれず、また書き直し...。

16道具のエッセイ、道具の説明、24のレシピ、この3つで構成されていて、それまでレシピ本をずっと書いてきた私としては、レシピ本の製作が楽に思えるほど(いや、レシピ本も相当大変です)難しかった、涙。

この本は台所で料理するときの、
道具に対する姿勢とか、
台所の立ち方とか、
料理と道具の関係性とか、
料理の精神性みたいなところを、私なりにやさしい文章で書いたつもりです。



今はSNSの時代ですから、画像に求めるところが大きくて、
見た目の良さとか、おいしいお店のこととか、そんな投稿が喜ばれる。
それはそれでよいと思うのだけれど、
私は料理家として、台所に立つことの意味や、
台所から観た世界を表現したい。

だから「&Premium 10」はとても嬉しい出来事でした。
自分の仕事を認められたような。大げさかな。でもそんな気持ちになれました。

本は著者が表舞台に出てしまいますけれど、
その裏ではたくさんの力持ちが一緒に仕事をしてくださいます。
私だけではどうにもならないのです。誰か一人でも欠けると形にならない。

「台所にこの道具」で関わった専門家は次の通り。
編集社(毬藻舎)
カメラマン(野口さとこさん)
デザイナー(いわながさとこさん)
装丁とイラスト(ダイモンナオさん)

各分野のプロが懸命に仕事をしてくださって、やっと1冊の本ができあがります。
その本をどこかで誰かが読んでくれる。
時には、こうしてメディアが紹介してくださる。
1本の糸が少しずつ広がり、つながっていくのが本の力ですね。

大げさだけれど、生きててよかったなぁ。
そんな気持ちにさせていくれるのが本の存在かな。
ありがとう、ありがとう。